温暖化対策通信 編集・発行 化学産業団体・地球温暖化対策協議会 |
第31号 |
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| 2009/1/15発行 |
INDEX
- 【巻頭言】
年頭ご挨拶
化学産業団体・地球温暖化対策協議会事務局長 西出徹雄
- 【トピックス】
使用済みプラスチック製品の処理について
- 【エッセー】ジャーナリストの問わず語り (第21回)
- 【投稿】お題「新春恒例?『温暖化対策』書き初め大会!」
- 【編集後記】
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【巻頭言】 年頭ご挨拶
化学産業団体・地球温暖化対策協議会事務局長 西出徹雄
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新年、明けましておめでとうございます。
足元の景気は昨年後半から急減速する中で新しい年を迎えましたが、今年は12月に開かれるコペンハーゲンでのCOP15がポスト京都議定書の枠組を決める期限となっており、2020年を目指した国別排出削減目標の議論が、年末に向けて次第に熱を帯びてくることでしょう。また、これまで京都議定書から外れていた米国でも、1月20日にはオバマ新政権がスタートしますので、国際的な議論の進展も期待されます。
過去一年間の化学産業の地球温暖化対策を振り返ってみますと、引き続き着実な進展が続いています。先ず国内での対応では、一昨年自主行動計画の目標を見直し、より高いエネルギー原単位改善目標を掲げましたが、2007年の実績では、1990年比で83%の水準まで改善し、目標達成を射程に入れているところです。 また、昨年10月半ばには色々議論のあった試行排出量取引スキームが正式にスタートしました。排出量取引自体が温室効果ガスの排出削減の原動力になるとは考えられませんし、運用によってはマネーゲームとなるなど問題点を含んでいますが、問題点を明らかにする意味でも、12月12日までの集中募集期間の中で合計501社が参加することになりました。このうち化学企業が41社参加登録を行い、化学産業における消費エネルギーの約80%をカバーする規模となりました。 今後国内ではCOP15に向けて、日本としての中期削減目標をどのようにするかの議論が集中的に行われることになるでしょうが、既に検討のための委員会が発足し、1月から個別産業の実態についてもヒアリングをしながら6月を目途に数字をまとめることになっています。各産業部門の省エネ努力も積み上げた見通しも検討されることになるでしょうから、セクター別アプローチを視野に入れながら、化学産業としての見通しを検討することになるでしょう。 地球温暖化対策の推進を国として支援するため、昨年末にまとまった21年度政府予算案や税制改正大綱においても、住宅等の省エネリフォームや省エネ設備投資に対する減税措置の強化・拡充が盛り込まれています。
国際的には、ポーランドのポズナニで開催されたCOP14では、前回バリでの結論を確認し、各国の主張をまとめた議長ペーパーが作成されるに留まり
ましたが、今年は3月に条約特別作業部会の議長から次期枠組に関する論点ペーパーが、6月には交渉テキストが出されることになっており、年末のCOP15に向けての交渉が本格化することになるでしょう。 国際化学工業協会協議会(ICCA)では、新設された「エネルギーと気候変動リーダーシップ・グループ」は2008年1月から日本がリードする形で活動を開始し、セクター別アプローチを目指したベンチマークの評価のタスクフォースと、化学製品が使われる段階を含めて省エネやCO2の排出削減に貢献する度合いをLCA(注1)的に評価するためのタスクフォースを設置し、検討作業を進めてきました。建物の断熱化、自動車・航空機の軽量化、照明の高効率化等による省エネ・排出削減に対する貢献を、約100品目についてLCAにより定量的に評価することにしています。
日本の化学企業が持つ省エネ・環境技術を開発途上国へ提供することに関しては、一昨年以来中国との間で技術移転についての協力を進めていますが、昨年11月に東京で開催された第3回日中省エネルギー・環境総合フォーラムでは新たに化学分科会を立ち上げ、官民合同の情報交換を行い、また個別技術テーマについて中国側の関心企業と日本の企業との間で、より詳細な議論を行いました。今後更に具体的な技術移転・協力に向けた活動を続けてまいります。
化学産業は自らの生産活動に伴う温室効果ガスの排出を削減する努力を続けていますが、更に他産業や運輸部門、家庭部門等での削減を進める上で、製品を通じて大きな貢献ができるポテンシャルを持つことが大きな強みであり、期待される役割でもあります。地球環境を守ることへの社会的なニーズの変化は、新しいグリーン・マーケットの誕生でもあることから、技術開発や製品開発を通じた積極的な対応を各企業が進めることを期待し、支援していきたいと思います。
本年も関係の皆様のご支援、ご協力を宜しくお願いいたします。
注1)「LCA」=ライフサイクルアセスメント:製品の一生における環境負荷を評価する手法
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【トピックス】 使用済みプラスチック製品の処理について
社団法人プラスチック処理促進協会 広報部・神谷卓司 |
日本のプラスチック生産量は約1500万トンで、年間に使用される石油と輸入ナフサの約6.5%に相当します。プラスチックは、軽くて丈夫、さびや腐食に強い、透明性があり着色が自由、大量生産が可能、電気・電子的性質が優れている、断熱性が高い、衛生的でガス遮断性が高い、などの特徴があります。 それぞれの特徴を活かした具体例を示します。塩ビサッシは低放射複層ガラスとの組み合わせで、従来のものに比べエネルギーロスを1/3に出来るとともに、結露の発生も抑えています。 容器包装は食品を加熱殺菌から冷凍保存まで、用途にあった容量で衛生的に消費者に届けるとともに、長期保存性や軽量化にも応えています。 自動車用のプラスチック製ガソリンタンクは、軽量化に加え、複雑な形状も一発成型できることから車内空間の拡大にも貢献しています。バイオ燃料にも対応済みで、北米安全基準も満たしています。 こうして使用されたプラスチックは、一般廃棄物と産業廃棄物としてそれぞれほぼ同量が排出されます。生産量と排出量は、ここ数年横ばいの傾向です。
弊協会では、毎年独自の調査と公的データから「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」をまとめており、2008年12月に2007年1月から12月の実績を公表しました。2007年の廃プラスチックの総排出量(994万トン)に占める有効利用率は73%(722万トン)に達しています。 有効利用の内訳は、マテリアルリサイクル(再生利用)21%、ケミカルリサイクル(高炉還元剤、コークス炉原料化、ガス化など)3%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)48%となっています。また、未利用27%の内訳は、単純焼却と埋め立てがほぼ同量です。 ここ数年のマテリアル、ケミカルおよびサーマルリサイクルの3つの有効利用方法の推移をみると、マテリアルリサイクルは依然として堅調な増加を示しているのに対し、ケミカルはほぼ横ばいの状況となっています。また、サーマルリサイクルは、前年までの拡大が止まり、わずかですが減少となりました。
2008年に東京都は、今まで埋め立ててきた廃プラスチックの処理について大きな変更を実施しました。これは、「廃プラスチックは貴重な資源であり、『埋立不適物』である」との東京都廃棄物審議会の答申を受けたものです。 一般廃棄物は、区によって施設やコスト負担などから対応が異なっていますが、不燃ごみとして埋め立てていたプラスチックを、容器包装リサイクル法に従った回収や、可燃ごみとして回収し、サーマルリサイクルを行います。 産業廃棄物の廃プラスチックも中央防波堤外側埋立処分場で受け入れていましたが、2008年度から段階的に受け入れ量を削減し、2011年度から受け入れゼロにする方針です。
東京23区のごみ処理施設の整備と管理運営を行う特別地方公共団体「東京都23区一部事務組合」が公表した温室効果ガスの排出見通しでは、廃プラスチック焼却による排出量増加分を、最終処分場から発生するメタンガスの削減効果、および電力会社での温室効果ガス発生抑制効果でほぼ相殺し、二酸化炭素換算での発生量は約0.7万トンの微増にとどまると予想されています。また、年間コストについても、可燃ごみの処理費用こそ廃プラスチックが加わることで約7億円増加するものの、反対に不燃ごみの処理費用が約38億円の減少、埋め立て処理費用が約10億円の減少、廃棄物発電量の増加による電力会社への売電が約11億円の増収と予想しています。この結果、年間で約52億円の費用が節約される(試算の段階)とのことです。
熱回収され発電に再利用された分は、本来使用するはずの化石燃料などを節約したわけですから、トータルの二酸化炭素発生は、コスト削減分おさえられたと考えることが出来ます。この効果は、2009年の実績が集計されると明確になると思います。
日ごろ地球環境問題について取材しているジャーナリストの皆さんに、地球温暖化対策をテーマにしたエッセーを執筆いただくコーナーです。記者の目から見た、現在の温暖化対策の諸動向に対するホンネの意見です。 今回は、日頃、地球温暖化問題に関し産業界を中心に精力的に取材をされておられる、日本経済新聞社 産業部の小野聡さんに、化学産業界に対する率直なご意見を寄稿していただきました。
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「温暖化対策の産業連関」
日本経済新聞 産業部 小野 聡 |
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様々な企業の温暖化対策を取材していると、化学・鉄鋼などBtoBの川上産業と家電・自動車などBtoCの川下産業とで、「温暖化ガス排出削減」のアピールの仕方に違いがあるのに気付く。前者では工程改善や廃熱回収など製造段階の話が主になるが、後者ではつくった製品を消費者に使ってもらう段階での省エネ効果がもっぱらテーマになる。
製造時の排出削減が「直接的」であるのに対し、製品供給を通じた排出削減は「間接的」。その削減効果は製品の実売数や使い方に左右される側面を持っている。その善し悪しは別にして、一般にどちらが地球温暖化防止に貢献しているとみられているかといえば、「環境に優しい企業」のイメージ調査の上位には常に液晶テレビやハイブリッド車のメーカーが並ぶことで明らかだ。これらの商品を支える炭素繊維、樹脂、パネルや鋼材にまで目が向けられることは少ない。
取引先への遠慮もあるのか、一部業界団体の試算はあるものの、素材メーカーはこの「成果の配分」について総じて口が重い。対照的に、昨年来日した欧州化学大手の環境担当者が「産業別でなく全産業で考えなければダメ」と盛んに繰り返し、住宅用断熱材による家庭のエネルギー効率向上を例に引いて「化学はソリューション」と話していたのを印象深く思い出す。
だからというわけではないが、ICCA(注1)の「気候変動とエネルギー作業部会」で日本がリーダーシップをとって進めている、LCA(注2)の観点から化学製品の川下産業や消費者に対する省エネ貢献を数値化しようという試みに関心を持っている。単に化学業界の存在感を高めるということではなく、社会全体が本来あるはずの「温暖化対策の産業連関」を再認識するきっかけになると思うからだ。
家電にせよ自動車にせよ、新製品開発では出来合いの材料を使うのではなく、構想段階から素材メーカーなどと互いに協力して「つくりこみ」をしていくのが常だ。それぞれの企業・業界が連関の中の「持ち場」で最高のソリューションを提供していくことが、最も効率的に環境負荷低減をもたらすはずだ。
ICCAで並行して取り組んでいる業界横断的なエネルギー効率指標づくりとあわせて、日米欧以外の新興国のメーカーも巻き込みながら、化学業界が今年のCOP15に向けた発信を強めていけるかどうか注目したい。
注1)「ICCA」=国際化学工業協会協議会 注2)「LCA」=ライフサイクルアセスメント:製品の一生における環境負荷を評価する手法
読者の皆さんから、毎回テーマを決めて、投稿を募集しています。
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(募集の主旨)
2009年の新年第1号にちなんで、「書き初め」をテーマにしました。書き初めのお題を「温暖化対策」と想定して、書く言葉(10文字以内)と、そのココロを募集しました。自分にとっての「温暖化対策」観、2009年に向けての抱負でも、何でも構わない、という主旨です。
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「節約、節電」 衣食住において「もったいない」精神でモノを大切にし、電気の無駄使いを無くすことに心がけよう。 (たべちゃん/男)
「覆水収め難し」 社会の発展と共に膨張してきた環境問題。誰しもが意識するほどに大きくなった今では、並みの努力では改善し難いもの。(とはいえ、一方、私たちが追求してきた利便さ、快適さから逃れることも、また同様に難しい・・・。) (発展とエコを考える/男)
「待機電力カット」 メジャーどころのTV・PC・エアコン等は、電源を元から切り続けること6年目に突入。使用開始前の僅かな時間と手間を我慢するだけで地球に少しだけ優しくなれる。「指先ひとつ」と言えば大袈裟かも知れませんが、それくらいのお手軽エコなので、もしみんなが実践出来れば効果は大? (次代の子供たちにもエネルギーを残そう/男)
「継続は力なり」 小さな事からコツコツと。何気なくやっていている事も長く続ければ成果は出るものですよね。 とは言ってもこれがなかなか難しいんですが・・・。 (脱三日坊主/女)
「賢い買い物」 以前どこかで、本当に賢い主婦は賞味期限の近いものから購入すると聞きました。当日のうちに消費して、ゴミの削減と食べ物のムダを省くのが目的です。私も買いだめして腐らせたりしないように、なるべくこまめに買い物するように心掛けています。 以前は恥ずかしくて買えなかった半額商品も、いまならためらいなくカゴの中へ(笑) 地球にも、お財布にも優しいエコを続けていくことを新年に誓います。 (ぷーちゃん/女)
「闘温」 ご存じアントニオ猪木のキャッチフレーズ”燃える闘魂”のパロディーで私の造語です。今年は皆の地道な努力で地球温暖化問題と対決して行きましょうとの気持ちを込めました。また個人的には減量に努め、暑苦しいメタボ状態から脱却することへの誓いでもあります。 (肥満児固め/男)
「不便を楽しむ」 昨年から自家用車を使わず、出かける時は必ず公共交通機関を利用するようになりました。遠出するときなどは非常に遠回りになりましたが、美しい風景を見ることができたり、知らない町を発見したりと、自動車生活では知ることのなかっただろう日本の良さを改めて感じることができました。自動車に限らず、不便さから見えてくる“新しい生活”を今年は楽しもうと思います。 (シングルライフ/男)
「禁我新年」 今年は、何事においても、我が儘を堪えて生活しようと思います。 快適な生活になれた身には、ついつい必要以上の物・サービスを求めがちです。暖房温度を上げる、お湯を使う、食べ過ぎる、飲み過ぎる、これら我が儘を抑え、窮乏生活に慣れることです。 この温暖化対策が、そのまま大不況下での生き残り対策にもなります。 (禁欲マン/男)
「春夏秋冬、勤倹力行」 一年中、エネルギー消費を倹約し、少しでも地球環境に貢献するよう、努力をする。 こんな1年を送りたい。と、日記には書いておこう。 (1年の計は元旦のみにあり/男)
処世論や精神論に結びつくものから、具体的な方策まで様々でした。問題はその意気込みを12ヶ月、365日続けられるかでしょう。今年も皆がそれぞれできる範囲で、コツコツと温暖化対策に励んでいきましょう。それにしても、今回の企画をやってみて、年頭に思うところを言葉としてしたためる「書き初め」というこの風習は、本当にすがすがしく、いいものだなと改めて感じました。日本が世界に誇れる文化ですね。
編集後記にもありますが、次回のメルマガは4月の発行を予定しております。「お題」は、またあらためて皆さま方にお知らせいたします。 もし「こんなテーマでみんなの意見が聞きたい」というテーマがありましたら、当メルマガ編集部( montai@jcia-net.or.jp)までメールにてお寄せ下さい。
「温暖化対策通信」ご愛読の皆様、本年もよろしくお願い申し上げます。 また、平成生まれで初めて成人となられた皆様、本当におめでとうございます。
“百年に一度”と言われる経済危機なんて関係ないよ、とばかりに好天続きのお正月、皆様いかが過ごされましたでしょうか。私はお金もないので、もっぱら地元散策か寝正月で、あっと言う間に終わってしまいました。 自宅で寝転びながらふと気が付いたのですが、この年末年始の街の様子、不景気のためか、省エネ・節約の精神が浸透したのか、クリスマスのイルミネーションも、お正月の門松の数も例年に比べかなり少なくなった気がします。寂しいという気持ちより、なんとなく落ち着いた“地に足のついた”“身の丈を心得た”日本に戻ったと思うのは私だけでしょうか。 もしこれが日本人の地球温暖化対策への意識の高まりの現れなら、“質素”や“地味”もまんざらでもないかと思いませんか。
さて、例年通り次号は新年度(4月)のアップロードを予定しております。その前に「号外」にて皆様に投稿のお題についてのご相談を申し上げる予定です。ウールのコートの要らなくなる頃、突然のご連絡を申し上げますが、驚かずにお付き合い頂ければ幸いです。 (五十路離一)
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「温暖化対策通信」第31号
【発 行 日】2009年(平成21年)1月15日
【編集・発行】化学産業団体・地球温暖化対策協議会 (社)日本化学工業協会 石油化学工業協会 日本ソーダ工業会 塩ビ工業・環境協会 日本化学繊維協会 日本産業・医療ガス協会
問い合わせ先 montai@jcia-net.or.jp
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