小さな省エネ積み上げて 防ごう地球の温暖化
温暖化対策通信ONTAI−PRESS

編集・発行 化学産業団体・地球温暖化対策協議会
第12号
2006/8/10発行


   INDEX

  1. 巻頭言】ソーダ工業業界の温暖化対策への取り組み
    日本ソーダ工業会会長
    中原茂明

  2.  
  3. トピックス】シンポジウム「脱温暖化社会の形成に向けた税制のグリーン化に向けて」
    を聞いて

  4.                      
  5. エッセー】ジャーナリストの問わず語り (第3回)

  6. 投稿】今回のお題「温暖化対策のために、お中元をやめよう?」

  7. 【編集後記】


 【巻頭言】ソーダ工業業界の温暖化対策への取り組み
日本ソーダ工業会会長 中原茂明

 この6月に、日本ソーダ工業会の会長に選任されました。今後、「環境問題への積極的対応」、「設備・製品の安全活動の一層の推進」、「地球温暖化対策の推進」の3つを重点項目に掲げて、工業会の運営を図って行きたいと存じますが、特に、「地球温暖化対策の推進」につきましては、これまで同様に、化学産業団体・地球温暖化対策協議会の一員として、積極的にその活動に参画して参ります。

 まず、1番目の「環境問題への積極的対応」ですが、国内活動としては、ソーダ工業プロセス及びソーダ製品についての環境・安全性に係わるデータの調査・分析、関連情報の調査・収集を図って行きたいと思います。さらに、関連の団体とも連携を図りつつ、環境にからむさまざまな課題に対して、積極的に取り組んで参ります。
 また、国際活動としては、WCC(世界塩素協議会)の環境活動等に積極的に参画し、アメリカ、ヨーロッパを始め世界と連携して、環境・保安活動を展開し、その成果を国内活動に反映させて行きたいと存じます。
 2番目の「設備・製品の安全活動の一層の推進」では、設備面に関して、工場における保安管理の合理化・安全対策の向上を目指して、関連するデータベースの更新を図って参ります。
 また、製品の安全活動としては、ソーダ関連製品による事故防止のための方策を検討すると共に、英語版の「ソーダ関連製品の取扱い」を作成し、海外にも安全情報を発信することを考えています。
 最後に「地球温暖化対策の推進」ですが、これまで同様に、化学産業団体・地球温暖化対策協議会の一員として、日本経済団体連合会のもとでの「環境自主行動計画の推進」など、積極的な活動を行っていく所存です。
 ご存知の通り、わが国電解ソーダ工業のエネルギー効率は、世界のトップを走っているといえます。ちなみに、平成17年度の電力消費量は110億2717万キロワットアワー(kWh)でしたが、か性ソーダの電力原単位は1トン当たり2444kWhと、わずかですが前年度より着実に向上しました。直近の10年間では4.2%も向上しており、イオン交換膜法に全面転換した平成12年度と比べても1.4%向上しています。一口に1.4%といいますが、電力消費量として年間1億5400万kWhの削減になるのです。
 これからも業界として、世界的に優れたイオン交換膜法技術をさらに向上させると共に、現在、会員企業にて開発を進めております、ガス拡散電極技術の実用化に向けて、省エネ技術の開発を始めとする温暖化対策に、積極的に取り組んで行きたいと考えております。
 最後になりますが、製造コストの上昇により国際的な競争の喪失をもたらす環境税導入については、今後とも、関係団体と連携、協力しながら、その阻止に向けて、最大限の努力を傾けていきたいと存じます。

 【トピックス】シンポジウム「脱温暖化社会の形成に向けた税制のグリーン化に向けて」
       を聞いて
編集部
   このシンポジウムは、環境経済学世界大会のイベントとして、7月5日に京都で、経済協力開発機構(OECD)、環境省等の共催で開催されました。
 プログラムは、ロレンツェンOECD環境局長による「環境関連税の政治経済学」と題した基調講演に引き続き、「脱温暖化社会の形成に向けた税制のグリーン化に向けて」と題したパネルディスカッションが行われました(コーディネーターは、藤井良弘・上智大学教授。パネリストには、前出のロレンツェン氏、小池百合子・環境大臣、佐和隆光・京都大学教授、桝本晃章・電気事業連合会副会長)。
 基調講演では、ロレンツェン氏が、6月にOECDが刊行した報告書「環境税の政治経済学」(8月に邦訳出版)をベースに「諸外国における環境関連税制」を紹介し、また、パネルディスカッションでは、そのテーマで推察される通り「環境税を含むグリーン税制」への関心と理解を高めるために様々な意見が交わされました。特に小池環境大臣は、環境税導入への強い意欲を示していました。
 なお、全体としては、日本での「環境税導入の下地作り」の意図が見え隠れするなど、環境税に反対する化学産業界の立場とは相容れない内容でした。

 また7月7日には政府の「地球温暖化対策推進本部会合」が開かれ、京都議定書目標達成計画の進捗状況について、「6%削減の達成には、温室効果ガスの大幅削減が必要」という報告が初めてなされました。これについては早速、環境省の炭谷茂・事務次官より「環境税の創設なしに(6%削減の)達成は困難」という発言がなされるなど、シンポジウムとあわせ、ここにきて再び環境税導入へ向けた動きが目立ってきています。われわれ産業界も社会の一員として、環境税の問題点についてより積極的に発言していく必要があると感じています。

 【エッセー】 ジャーナリストの問わず語り(第3回)

 日ごろ地球環境問題について取材しているジャーナリストの皆さんに、地球温暖化対策をテーマにしたエッセーを執筆いただくコーナーです。プロの目から見た、現在の温暖化対策の諸動向に対するホンネの意見です。

蟻とキリギリス
重化学工業通信社 高月英夫



 今更いっても詮無いことがこの世には多々ある。地球温暖化問題もしかり。環境・安全問題では理不尽な敵役にされがちな化学業界。少し、憂さを晴らしてみたい。
 世界最悪の温室効果ガス排出国である米国が京都議定書に参加しないで何の意味がある。世界最大の工場と化した中国に排出削減数値目標すら課せられないで何の意味があるか。CDM(クリーン開発メカニズム=途上国の温室効果ガス削減事業を支援することで削減量を自国の排出権に組み入れる方式)取引が浮上してから手のひらを返したように批准してきたロシアはえげつなくないか。
 自国エゴむき出しの米露に翻弄されながらも、日本はドン・キホーテよろしく排出ガス削減、省エネルギー推進に邁進してきた。無駄を排する血の滲むような努力を積み重ね、蟻のように働いてきた。だが、いずれ泣きをみるのはキリギリスだ。蟻はせっせと省エネ技術を蓄え、来るべき冬に備えよう。
 確かに去年のハリケーンは大型だった。氷河の境界線も年々後退しているようだ。湖は縮小し、砂漠は拡大、雨がまったく降らなくなったり豪雨が襲ったり、降雨量の大変動で近年の天候は異変続きだ。これらが温暖化のせいならば、利便性の代償ならば、再生産可能な、持続可能なシステムを構築し、次の世代に残すことが我々の義務となる。
 日本の製造業は頑張っている。なかでも化学業界は優等生だ。とっくに(2003年に)目標値を達成している。あとは民生部門で冷房の効きすぎ、夜間照明の削減、待機電力のカットなどエネルギーの無駄遣いを慎み、運輸部門も交錯輸送や空荷の削減、レンタルシェアリング、一層の燃費向上、排ガスのクリーンアップ対策に努めてもらいたい。それでも日本のエネルギー消費効率は世界一だ。米国の2倍、中国の10倍、ロシアの20倍優れている。だったら、世界一石油をがぶ飲みしているアメリカ人の意識を変えさせる方が手っ取り早い。あらゆる分野でエネルギーの無駄遣いにつながる肥満・高カロリー摂取の抑制、燃費の悪い大型車の追放、誰もいないビルや施設の24時間照明禁止、「もったいない」という発想のないライフスタイル‥‥‥キリがないが、わがままなアメリカ人の意識改革が地球を救う!?先のサミットでも日本の省エネ技術に期待感が寄せられた。日本人は優しいから、結局はキリギリスを助けてあげることになるのだろう。
 確かな科学的根拠をもって説明できなくとも、(人間を含む)自然にとってよいと思われる対策は講じるしかない。厄介な浪費家を抱えながら、世界の先頭に立って削減活動に乗り出さねばならない日本の関係者の皆さんには、敬意を込めてエールをお送りしたい。
 日本が先頭に立って真っ正直に温暖化ガス削減対策を進めることは決して無駄なことではない。何といっても技術革新のチャンスになる。省エネ化も含めて世界一クリーンで効率のよい製法を確立できれば、技術移転によるライセンス収入とプラント輸出など経済効果も期待できよう。また地球全体として排出ガスの削減につながるCDMプロジェクトをどんどん提案することで、相手国の持続可能な経済開発にも貢献できる。日本で多大な労力をかけて乾いたぞうきんを絞るよりも、省エネ対策の甘い国でずぶ濡れのぞうきんをわずかな力で絞る方がよいのは脱水効率の面でも確か。それでも、日本では常に一歩先んじた省エネ技術の開発努力を怠ってはならない。
 日本の技術力が世界を救う!お人好しといわれようが、実直に省エネ技術を開発していく日本の姿勢が案外世界から尊敬される結果になるかもしれない。

 【投稿】

 読者の皆さんから、毎回テーマを決めて、投稿を募集しています。
 これは温暖化対策をめぐる世の中のいろいろな動きの中で、「ちょっと待った」と言いたくなるような、ある「お題」を毎回設定して、皆さんの意見を募集するというものです。さまざまな意見をできるだけ多くご紹介して、温暖化対策への興味と関心を深めてもらえればと思います。


今回のお題=「温暖化対策のために、お中元をやめよう」
あなたはこの意見に賛成?、それとも反対?


(「お題」の主旨)
 新聞で「お中元をやめて温暖化防止を」との意見を見つけました。

  • お中元をやめれば、配送車や冷凍車の動きが格段に減る。留守の場合は1度拠点に荷物を戻してまた送り届けるという「二度手間」がある。夏は休暇もあるので留守の家は多い。
  • 生ものを冷凍・冷蔵で送ることも最近多い。夏場だからこそ、という発想だが、冷凍・冷蔵状態を保つだけでもエネルギー消費がバカにならない。
  • お歳暮と違って長丁場。地域によって送る時期に違いがあり、延べ2ヵ月ぐらい、だらだらと配送が続くことになる。
  • お世話になった人への贈り物は、お歳暮に集約すれば良い。お中元はいろいろな意味で非効率だ。

「賛成!」
=個人レベルで温暖化防止のために「何をやれば良いのか」なかなか分からない中で、慣例をやめる事によって温暖化が防げるという分かり易い施策ならどんどん実施すべきだと思う。また、お中元を止めることに反対する理由も特にないので・・・。(かんしゅうしらず/男)

「賛成!」
=親しい人に思いを馳せて品物を選ぶのも楽しいとは思いますが、昨今のやや常軌を逸した駐車取締りをかいくぐり、真夏の太陽の下を走り回っている配達の人の苦労を考えると、「お歳暮に集中」することにします。でも小遣いには回ってこないよな。(個人デフレから脱却できない元営業マン/男)

「反対!」
=普段お世話になっている方へのお礼は止められないのではないでしょうか。お中元を止めると、配送時期がバラバラとなり余計にガソリンを食うことになり、温暖化防止につながらないと思います。また、商品や運賃の割引がなくなり自分も困ります。(お中元をいっぱいしている男)

「反対!」
=中元、歳暮の定番は食料品や日用品で化学業界への影響は大きくとてもクールビズに対するネクタイ業界の比ではないであろう。それ以上に日本古来の良き習慣を捨てるべきではない。他にやらなければいけない事はもっと多い。(中元欲しい/男)

「大賛成!」
=何で御中元・御歳暮があるのかサッパリ分かりません。日頃、行き来もしないのに形ばかりの御挨拶、こちらがしなくなったら相手もしなくなった。年賀状も同じ、ようするに皆がするからしているような感じです。温暖化防止に繋がるのでしたら大賛成です。(「趣味野菜作り」/男)

「反対!」
=最近ちまたで "自分(若しくは家族)" へのお中元が増えています。こういう機会を捉えての、ささやかなご褒美です。これなら必ず自分が受け取りますし、期間も設定すれば良いことです。地球温暖化防止への効果は疑問ですし、経済効果の点からも反対です。(我が家は昔お中元天国、今は・・・/女)

「賛成!」
=温暖化という点を重視すれば、確かに賛成にはなりますが何もそこまで・・・と思うのは問題意識がないですか?「季節の挨拶」「年賀状」みたいな考えでいったら、100%賛成じゃないかも…はだめですか?(貰うのは好き/女)

「反対!」
=純粋に「温暖化防止」の観点からして、お中元をやめることはそれほど大きな効果があるのかどうか? 24時間開いているスーパーとかのほうがよほど問題だと思う。日常生活を見直すのであれば。(ビール好き/男)

 これは、日本の贈答文化に対する考え方で賛否が割れたような印象ですね。
 ただ、全体としては賛成派の方が若干多かったようです。


では、次回のお題です。

次回のお題=「プラスチックを燃えるゴミに分別する」
      あなたはこの方針に賛成?、それとも反対?


(「お題」の主旨)
 東京23区のゴミ処理では、家庭からゴミとして出てしまうプラスチックの容器や包装材を、それまでの「不燃ごみ」として埋め立てていたものから「可燃ごみ」として焼却するルールに変更する方向で検討が進んでいます。
 この7月3日から、品川区の一部エリアで「モデル収集」がスタート。現在の予定では、平成20年度までに23区全域に拡大されるそうです。プラスチック類を紙くずなどと一緒に清掃工場で焼却するというものですが、「あれだけ苦労して分別してきたのに」という人も多いのでは。それに、プラスチックを燃やすというのは、今までの感覚からすると何となく違和感もあります。あなたはどう思われますか?

 次回はこの提言について考えます。提言に賛同する人は「賛成」、賛同できない人は「反対」と書いて、理由をお聞かせください。

(投稿のルール)
 上記の「お題」について「賛成」か「反対」かをまず書いて下さい。そのうえで、その理由を100文字以内程度にまとめて下さい。送り先は「温暖化対策通信」編集部(montai@jcia-net.or.jp)です。氏名(ペンネームも可)と性別をお書き添え下さい。締め切りは8月31日です。※長文のご意見については、文章を割愛させていただく場合がございます。
 なお、ご意見が採用された方には、編集部よりプレゼントを差し上げます。どんなコメントでも結構です。多くの皆様からのご意見をお待ちしております。

 【編集後記】

 長かった梅雨も明け、本格的な夏がやってきました。30度を超える暑さに暑い暑いとこぼしていたら、なんとカリフォルニアでは連日40度を超える猛暑が続き、100人以上の死者が出ているとか。温暖化のせい(?)とテレビでは報道していましたが、どうなんでしょうか。

 100人以上の死者で思い出しましたが、つい先日やっと米国産牛肉が輸入解禁になりましたね。BSEについてある説によると、日本人がBSEにかかって死亡する確率は、1万年に1人程度なんだそうです。「だから、輸入解禁してもしなくても、確率論的にはほとんど差はない」ということでした。
 そういわれても、もしも私が米国産牛肉を食する羽目になった時には、なんとなく緊張して、居ずまいを正して食べるだろうな、と思います。

 今年の夏も元気で乗り切りましょう。
H2O記
 
*個人情報につきましては、個人情報保護法の主旨に則り、適切に処理します。
*本メールマガジンに記載された文章、画像の無断転載を禁じます。

当メールマガジンのPDF版をご入用の場合は、下記の問い合わせ先までご一報下さい。



バックナンバーはこちら⇒

                         「温暖化対策通信」第12号

                         【発 行 日】2006年(平成18年)8月10日

                         【編集・発行】化学産業団体・地球温暖化対策協議会
                         (社)日本化学工業協会 石油化学工業協会
                         日本ソーダ工業会 塩ビ工業・環境協会
                         日本化学繊維協会 日本産業ガス協会

                         問い合わせ先 montai@jcia-net.or.jp