小さな省エネ積み上げて 防ごう地球の温暖化
温暖化対策通信ONTAI−PRESS

編集・発行 化学産業団体・地球温暖化対策協議会
第30号
2008/12/10発行


   INDEX

  1. 巻頭レポート
    電解ソーダ工業における省エネルギー技術への取り組みについて
    日本ソーダ工業会 参与理事
    坂本明雄

  2. トピックス
    「第3回 日中省エネ・環境総合フォーラム」が開催されました。

  3. エッセー】ジャーナリストの問わず語り (第20回)

  4. 投稿】お題「今年の私にとっての『地球温暖化対策ベスト1』」

  5. 【編集後記】


【巻頭レポート】
電解ソーダ工業における省エネルギー技術への取り組みについて
日本ソーダ工業会 参与理事
坂本明雄

 わが国の電解ソーダ工業のエネルギー効率が世界で最も高いということについては、化学産業団体・地球温暖化対策協議会や日本経済団体連合会の温暖化対策資料の中に、エネルギー効率の国際比較として、電解ソーダ工業でのカセイソーダ製造の電力原単位が例示されていることから、既に皆様ご承知のことと思います。
 この原単位比較の例示で、わが国が最も良いのは、わが国ではイオン交換膜法電解槽が100%導入されているからです。イオン交換膜法電解槽が100%導入されている国は、わが国の他には、韓国、台湾などがありますが、欧米等では、未だにエネルギー効率の劣る隔膜法や水銀法の設備があるために、わが国より原単位が劣っているのが現状です。
 電解ソーダ工業は、食塩水を電気分解して、カセイソーダ、塩素、水素を製造する工業で、その製造方法には、イオン交換膜法、隔膜法、水銀法があります。イオン交換膜法製造設備の中核となるイオン交換膜法電解槽は、わが国で精力的に研究開発が進められた、世界で最もエネルギー効率の良い設備です。
 電解ソーダ工業の製造工程は、塩水の精製、電気分解、カセイソーダの濃縮及び塩素ガス・水素ガスの精製などの3工程から成ります。電気分解を行う中核となるイオン交換膜法電解槽は、大きく分けて、イオン交換膜、陰極及び陰極室、陽極及び陽極室、直流電源系統から構成されています。さらに、電解槽設備を最適運転させるためのシステムそのものも一つの要素です。消費エネルギーのほとんどを占める電気分解での消費電力を削減するため、つまり電力原単位向上のため、これら製造工程に関わる設備や電解槽を構成する一つ一つについて、現在でも技術開発が行われており、各社とも、日々、省エネルギーに向けて努力をしているところです。
 日本ソーダ工業会では、ソーダ工業での生産技術及びソーダ製品、環境保全に関わる技術開発において、ソーダ工業に顕著な貢献の業績に対して、毎年「技術賞」を贈っております。この5年間の受賞技術は、次の通りです。

 平成20年度「白金合金系活性陰極の開発」(東ソー株式会社)
 平成19年度「ゼロギャップ法食塩電解技術の確立」(株式会社トクヤマ)
 平成18年度「塩酸酸化プロセスの開発と工業化」(住友化学株式会社)
 平成17年度「揮発性有機塩化物の無害化技術及び装置開発」(株式会社ADEKA)
 平成16年度「イオン交換膜法食塩電解槽の開発」(東ソー株式会社)

 以上5件のうち、実に3件が、電解槽の省エネルギー技術となります。
 このうち、昨年度の「ゼロギャップ法食塩電解技術の確立」は、イオン交換膜と電極(陰極・陽極)との距離(電極間距離)をより狭めることを可能にし、電解電圧、すなわち消費電力の大幅な削減を図る技術です。ちなみに、ゼロギャップとは、電極間距離がゼロに近いという意味です。
 また、本年度の「白金合金系活性陰極の開発」は、低電圧で水素を発生させることができる電解用陰極の開発で、これまで白金系合金は、触媒活性に優れている反面、耐久性に課題があった点を克服したもので、これも安定的に電解電圧、すなわち消費電力の削減につながる技術です。
 わが国のソーダ工業は、イオン交換膜を始めとする電解槽及び他の製造工程に関わるさまざまな既存の電解ソーダ工業技術の開発を推し進め、より一層の省エネルギー技術の開発に引き続き取り組んでまいります。
 

【トピックス】
「第3回 日中省エネ・環境総合フォーラム」が開催されました。
(編集部)

 去る11月28日(金)に東京で経済産業省、中国国家発展改革委員会などの共催による第3回日中省エネルギー・環境総合フォーラムが開催されました。
 本フォーラムは両国の官民のリーダーが一堂に会し、相互理解を増進することにより、現在最も重要な協力分野となっている省エネルギー・環境分野における具体的なビジネス、互恵協力の機会の拡大を図る目的で開催され、参加者数は日本側約800人、中国側約300人の合計約1,100人と過去最高を記録しました。
 午前中の両国首脳らによる基調講演に続いて、午後には7つの分野別分科会が開催されましたが、ここでは今回初めて化学分科会が設置され、日中合わせて120名を越える参加者が集いました。この化学分科会では、日中双方から省エネルギー・環境分野におけるこれまでの取り組みが紹介されたほか、日本化学工業協会が2008年10月に改訂版を発行した「日本の化学産業が提供する省エネルギー・環境に関する技術集」に関連する技術の紹介や、今後の協力体制についての活発な意見交換が行われました。
 また、中国から来日した化学分科会参加者は、フォーラムに先立ち、カネカ・高砂工業所、電気化学工業・青海工場、三井化学・市原工場、住友化学・千葉工場、昭和電工・川崎事業所など、各地の事業所を意欲的に訪問しており、日本の先進的な省エネ・環境技術に対する中国側の関心の高さが伺えました。

 化学産業は基礎素材としての化学製品を供給することにより社会基盤を支え、人々の豊かな暮らしづくりや産業の発展に大きく貢献してきましたが、その一方で、多くの資源を消費し、大量の二酸化炭素を排出してきた産業であることも事実です。
 日本の化学産業は公害等の環境問題や2度のオイルショックを克服すべく、徹底的に環境対策・省エネルギー対策に取り組み、世界最高水準のエネルギー効率と環境保全に関する技術を獲得しました。
 国際化学工業協会協議会(ICCA)に於いても、世界の化学産業が取り組むべき三つの重点課題の一つとして「気候変動とエネルギー」を選定し、化学産業の本課題に対する貢献をPRし化学産業への適切な理解を求めることにしています。具体的には、ベンチマーキングによる化学産業のエネルギー効率向上の追及や、化学製品が他産業の省エネ製品にどの程度貢献しているかを定量的に把握する取り組みなどを行っており、日本はリーダー国として主導的な役割を果たしています。

 日本の先進的な技術を、成長著しい中国などの発展途上国に広めることは、エネルギー消費の削減や環境を守る上で大変有意義な活動です。また、2013年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組み作りは、今や世界第二位の二酸化炭素排出国である中国の参加なくして語れません。
 今回のフォーラムを機に、日本の化学産業が培ってきた省エネルギー・環境に関する技術の移転がますます促進され、両国の化学産業が社会の持続的な発展に大きく貢献することを編集部一同、心から願っております。

【エッセー】 ジャーナリストの問わず語り(第20回)

 日ごろ地球環境問題について取材しているジャーナリストの皆さんに、地球温暖化対策をテーマにしたエッセーを執筆いただくコーナーです。記者の目から見た、現在の温暖化対策の諸動向に対するホンネの意見です。
 今回は、化学工業日報・編集局長の田中四郎氏にお願いしました。日ごろから化学業界全体を俯瞰的に注視しているお立場からご執筆いただくという主旨の、年末特別企画です。

「化学技術の革新を求める低炭素社会」
化学工業日報・編集局長
田中四郎

田中氏
 米国発の金融危機は、燎原の火のように世界経済を暗雲に包み込んだ。G20はこの危機を克服するために協調することで合意したが、この危機を正確に定量化することはいまの時点では難しそうだ。最大の焦点は、日本を含めた世界経済への波及とその影響度がどれほどのインパクトを持つかだろう。グリーンスパン前米FRB(連邦準備制度理事会)議長の‘百年に一度’という発言は、不気味に響く。
 石油をはじめとした資源価格は今年半ばまで歴史的な急騰を続けたが、金融危機が表面化したことで急落に転じた。これを、世界的な経済減速(による需要減少)が後押ししている。‘資源バブル’を背景にした大規模な投資計画も修正を迫られそうだ。
 今回の金融危機は、バブル経済の負のダイナミズムと相関しあうことになるだろう。こうしたなかでかってなく重要性が高まっているのが、資源価格の乱高下に対する国家的な戦略策定とともに低炭素・資源循環型社会への取り組みだ。両者は、相互に関連し合う。
 日本の産業界は、世界トップクラスのエネルギー効率を誇る。二度にわたる石油危機が、省資源・エネルギーによるコスト効率の改善を強く促したためだが、今回の‘石油危機’は脱石油・ガス、省エネへの対応の戦略性をさらに際立たせていると言っていい。化学技術・プロセスの開発は、その中核的なテーマである。素材から最終製品までの広範なサプライチェインを持つ化学産業は、他の産業や業務・家庭分野などでの省エネ・低炭素化に貢献しているケースが多い。化学技術の粋ともいえる太陽光発電、炭素繊維系複合材料を多用する航空機など枚挙にいとまが無い。
 一方、CO2をはじめとしたGHG(温室効果ガス)を直接、化学製品の製造に取り込もうとする意欲的な技術開発も進み始めた。三井化学はCO2を原料としたメタノール合成の実証パイロット設備を建設する計画をスタートさせたほか、三菱化学はコークス炉の副生ガスとCO2でベンゼンを製造するプロジェクトに着手した。東京大学や帝人などの産学複合体は、CO2から脂肪族ポリカーボネート樹脂を誘導する開発計画に取り組んでいる。これらは、かって国家プロジェクトとして推進されたC1化学の発展系ともいえる。
 近く発足する米国のオバマ政権は、温暖化対策に強い意欲を示している。グローバルな温暖化対策の必要性は論をまたないが、足元での省資源・エネルギーへの取り組みで化学技術が果たす役割が一段と注目されることになりそうだ。

 【投稿】

読者の皆さんから、毎回テーマを決めて、投稿を募集しています。


お題=今年の私にとっての「地球温暖化対策ベスト1」


(募集の主旨)

 今月号が今年最後のメルマガとなります。そこで1年間の総括として、自分にとっての「今年の地球温暖化対策ベスト1」を募りました。今年あなたが体験した、あるいは見聞した中で、最も“すごかった”地球温暖化対策を挙げて、理由と一緒に投稿をいただきました。
 逆に地球温暖化対策として努力はしたものの、いまひとつだったと感じたような例も募集しました。

買い物袋を持参し、過剰包装を避ける努力を継続したことがベスト1!しかし一方、猛暑の夏夜はエアコンOFFでがんばったものの、途中挫折してしまった!! (たべちゃん/男)

会社から近いからこそ出来る温暖化対策の徒歩(走り)通勤。その代わり、全く乗らなくなった車のバッテリーが、最近ついに上がってしまいましたが‥。この季節でも会社に着くと暑くて仕方がないので、到着次第、事務所の暖房は即OFFに!周りの白い目も気にせず、朝から会社でも温暖化対策実行中。小さな事でも、積み重ねで効果が出ないかなぁ。(次代の子供たちにもエネルギーを残そう/男)

それは”夜の10時には電気を消して布団に入る”ことです。早くに布団に入ってしまえば照明や、これからの時期に必要な暖房などの光熱費がかからず、CO2の削減につながります。しかし、最もベストなことは、仕事中眠くならなくなったことです(笑)。(マッキー/女)

日々エコを信条に生活している私です。この冬お金をかけずに防寒するなら1)靴下の2枚ばき 2)腹巻 3)マフラーと手袋 はお勧めです!身体の内臓を暖めると自然に末端まで暖まります。エアコンやストーブはホドホドに、男女とわず試してみてください。これは意外に「すごい」ですよ!(あにまる/女)

今年は、京都市とコンビニ業界とで繰り広げられた深夜営業見直しをめぐる攻防が一番印象に残りました。見直しの是非はともかく、業界側は賛成できない理由のひとつに、「温室効果ガスの排出削減効果が小さい」ことを挙げてました。それを言ったら私たち個人ができることなんて、もっともっと“小さい”だろ!!(怒りおやじ/男)

自分にとっての「温暖化対策ベスト1」
家を買い替えました。とはいっても、温暖化対策のために家を買い換えたわけではございませぬが、結果として温暖化対策となってしまいました。
1)エアコンをはずして持っていこうとしたら、「新しいのに替えたほうがいいですよ、電気代も安いし。」と言われ、3台捨てた。
2)都内に移動したため、車を全く使わなくなった。
3)居間が二階になり日当たりがいいので、暖房費が減りそう。ってな具合です。(家持ちっ子/男)

トイレ、洗面所の白熱電球を電球型蛍光灯に替えたら、至って効果的でした。気を良くして玄関にLED(エネルギー効率に優れ、低消費電力、高速応答などの特徴をもつ発光ダイオード)0.5Wを2つつけたら・・・無いに等しい光量で、まだ蛍の方がましか?!ってな有様です。買い換えるのも悔しいので使い続け、今はスイッチを入れる度に怒りを通り越して笑いが出ます。LEDの1Wは明るいのになぁ。(それでも温暖化対策には貢献?/女) 

社会保険庁より全加入者に送られた年金加入記録。この作成と送付のためにどれだけの無駄なエネルギーが使われCO2が排出されたことか。これが今年の温暖化ワースト1ではないでしょうか。(決められた仕事はきちんとしましょう/男)

市営地下鉄の新線が開通になり、地元にも新しい駅が出来たことです。以前は私の住区のサラリーマンは、バスや車で30分かけて都心へ向かう鉄道の駅に行き、そこから通勤していました。
雨の降る日はママさん運転のマイカーでバス道路も渋滞し、30分どころか1時間かかることもありました。
今や道路渋滞は過去のものとなり、地下鉄利用者、車利用者ともにハッピーな日々を過ごしております。当然CO2排出量削減にも絶大な効果ありと考えます。 (メトロン星人増殖/男)

エコバック。もらい物もあります。結構かわいいのもあります。でも、つい持っていくのを忘れちゃうんです。鞄に常に入れておかないとだめですね・・・。来年頑張ります。 (お箸は貰いません・・・なるべくね/女) 

今年一番の温暖化対策はダイエットに挑戦したことです。おかげで社会人になる前に買ったスーツが再び着られるようになりました。着られないのに持っていたという偶然もありますが、これって立派なリユースですよね。(実は捨てられない男/男)

温暖化に対して、真剣に取り組もうという気持ちへの変化が、わたしの今年一番の温暖化対策だと思います。子供達にも、ケチではなくエコだと教え節電・節水に協力してもらっています。私の母も、無農薬野菜を作り始めたようです。こうした小さなことが、温暖化対策に役立てていると信じています。(エコバック大すき/女)


 エコバックの活用や照明器具の見直し、大きいところでは家の買い替えといった「購入」型、早く寝る、徒歩通勤、ダイエット、防寒着の活用などの「生活習慣見直し」型、さらには新線開通まで、実にバラエティ豊かになりました。コンビニ業界の言い分や年金加入記録などへの問題提起も、そういう見方も確かにできる、と思います。ただ全ての方に共通するココロを代弁してくれたのが、最後の方の「真剣に取り組もうという気持ちへの変化」という内容ではないでしょうか?


 さて、次回のお題です。

新春恒例?「温暖化対策」書き初め大会!


(「お題」の主旨)
 次号は2009年の新年第1号となります。お正月と言えば「書き初め」。1月2日に行うのがしきたりですが、もしそのお題が「温暖化対策」といわれたら、あなたならどういう言葉を書きますか? あなたにとっての「温暖化対策」観でもいいですし、2009年に向けての抱負でも、何でも構いません。書きたい言葉とそのココロを教えて下さい。
 なお、「書き初め」の言葉は10文字以内とさせていただきます。

例)
「自給自足」
(自給自足すればいろいろな無駄が省ける。特に今年は、電力を太陽光で何とか「自給」したい)
「楽しく続ける」
(苦労して行うことなら、多分続かない。続けるためには「楽しむ」ことが必要。それが何かを探しています)
「早寝早起」
(結局この生活習慣が究極の「温暖化対策」なのでは?)

(投稿のルール)
 送り先は「温暖化対策通信」編集部( montai@jcia-net.or.jp)です。氏名(ペンネームも可)と性別をお書き添え下さい。
 締め切りは2009年1月9日です。
 採用された方には編集部より、プレゼント(図書カード1000円分)を差し上げます。
 多くの皆さんの投稿をお待ちしております。
(長文の場合は一部割愛することがあります。ご了承ください)

 【編集後記】

 究極の温暖化対策のライフスタイルを、身近なところで見つけました。それは、冬眠です。毎年、我が家の亀を冬眠させていますが、そろそろ準備を始めたところです。本来なら、自分でしなければいけないのでしょうが、ペットの身分なので、飼い主の責任と言ったところでしょうか。もしも、人間が冬眠できたら、何ヶ月間もなにもしないのだから、それこそ、かなりのCO2の削減になるはずです。そこで、冬眠用のカプセルなど、誰か開発してくれないでしょうか。・・・こんな発想、本末転倒だと思いますが、温暖化に関しては、こんな例が、時々見られるような気がしますが。 (万年亀)


次回メルマガは1月中旬の発行を予定しております。

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                         「温暖化対策通信」第30号

                         【発 行 日】2008年(平成20年)12月10日

                         【編集・発行】化学産業団体・地球温暖化対策協議会
                         (社)日本化学工業協会 石油化学工業協会
                         日本ソーダ工業会 塩ビ工業・環境協会
                         日本化学繊維協会 日本産業・医療ガス協会

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