化学から地球への報告 2003 社団法人日本化学工業協会
レスポンシブル・ケアって何? 用語解説
HOME 環境保護対策について 安全に対する取り組み 座談会:化学と地球環境の共生

地球を温め過ぎないために、何をしているの?
 
 
 
 
 

 
地球は、大気圏をとりまくCO2(二酸化炭素)やメタンなどの「温室効果ガス」により、人間や動植物にとって暮らしやすい温度に保たれています。しかし、産業活動の活発化にともなう石油・石炭の消費の増大や、森林の伐採により温室効果ガスの濃度が増加し続けてバランスを崩し、地球規模で気温が上昇する「地球温暖化」が進行しているといわれています。このまま温暖化が進むと、100年後には砂漠化や海面の上昇、生態系の変化など、さまざまなところに深刻な影響が現れると考えられます。

■化学業界では

こうした状況に対応するため、化学業界では、1997年度から「経団連環境自主行動計画」に参画し、省エネルギーを推進し、CO2排出を抑制する活動を継続してきました。環境自主行動計画は2012年度の実績報告を以て活動を終了し、エネルギー原単位指数(原単位とは製造に要したエネルギー使用量を生産数量で割ったもので、この数値が低いほど効率がよく生産していることになり、環境への負荷も少ないといえます)の2008〜2012年度の実績の平均は85%であり、1990年度に対し15%の原単位改善を行いました。

2013年度からは、経団連の「低炭素社会実行計画」に参画し、(1)国内事業活動からのCO2排出抑制、(2)低炭素製品・技術の普及によるサプライチェーン全体でのCO2排出抑制を進める主体間連携の強化、(3)日本の化学製品・プロセスの海外展開による国際貢献、(4)2020年以降の実用化を視野にいれた中長期的な技術開発である革新的技術の開発の4本柱で地球温暖化対策を進めています。


最新低炭素社会実行計画の報告書を見る

■他の温室効果ガスの排出量の削減

排出量削減率化学業界では2012年までにCO2の排出量削減のほかに、温室効果ガスである代替フロンガスの PFCs(パーフルオロカーボン:半導体産業の洗浄用途)、SF6(六フッ化硫黄:電気絶縁ガス等の用途)の排出削減にも取り組み大きな成果をあげてきました。2013年以降も気候変動枠組条約における追加ガスであるNF3(3フッ化窒素:シリコンウエハーのエッチング等の用途)を加えた「代替フロン4ガス」の製造時の排出削減活動を継続し、新たに2020年、2025年、2030年における排出削減目標を設定しました。

PFCs,SF62020年、 2025年、 2030年の削減目標 90%
NF32020年の削減目標 60%、 2025年の削減目標 70%、 2030年の削減目標 85%


最新自主行動計画の報告書を見る

■その他の温暖化対策への取り組み事例

●化学製品の貢献(LCA的観点からの定量評価)
ICCA(国際化学工業協会協議会)は、2009年に世界の温暖化ガス排出量に化学産業が及ぼす影響について公表しました。原料調達から製品廃棄までのCO2排出量をカーボンライフサイクルアナリシス(cLCA)で算定したものです。ICCAがマッキンゼーに研究を委託し、運輸、建材、包装など8分野に渡って評価し、独研究機関のエコ・インスティテユートから第三者検証を受けました。その結果によると、化学産業の原料採掘、生産、廃棄などのCO2排 出量1単位に対して、断熱材や照明、太陽光や風力発電などの使用により、間接的に2〜3単位の排出削減に貢献することが判明しました。更に今後、CO2削減に貢献する製品の普及を政策的に導入することにより、更なるCO2削減が達成される可能性が見出せました。

化学産業の製品が他産業を通じて実行する社会貢献


●国内および世界における化学製品のライフサイクル評価 carbon-Life Cycle Analysis(cLCA)
CO2排出削減対策は、各国各地域によりその対策は異なり、日本における対策指針を立案する上には、日本の具体的な状況を把握し、その中で最も効率の良い施策を優先的に立案し推進する必要があります。日本化学工業協会では、2020年を評価対象年として、対象年1年間に製造された製品をライフエンドまで使用した時のCO2排出削減貢献量を算定しました。算定対象として、再生可能エネルギー、省エネルギー、省資源、再生可能資源、N2O排出抑制の分野において国内で15事例,世界で4事例を取り上げ分析しました。算定結果については、日本における施策立案の参考となることを期待し、2011年7月に発行した初版「国内における化学製品のライフサイクル評価」を改訂し、2014年3月に「国内および世界における化学製品のライフサイクル評価 carbon Life Cycle Analysis(cLCA)」と題する第3版の報告書に取りまとめて発行しました。分析の結果、国内で約1.2億トン、世界で約3.9億トンの排出削減に貢献するキーマテリアルであることがわかりました(なお、排出削減貢献量には、化学製品だけでなく他の原料、部材関連の製品分も含まれますが、現時点で他製品の貢献を定量化する手段を持ち合わせていないため、排出削減貢献量を構成製品毎に配分することは行っていません)。
 この結果を見ると、グローバルな課題であるCO2排出削減を推進するためには、製造時におけるCO2排出削減といった部分最適の議論ではなく、製品のライフサイクルを十分に理解したうえで、全体最適の視点からの対策が重要であるといえます。今後、化学産業は、製造時の排出削減にとどまらず、ライフサイクル全体における化学技術・製品の活用による削減貢献を目指し、社会全体のCO2排出削減を推進して参ります。また日化協ではcLCAの透明性、信頼性を確保するために、「CO2排出削減貢献量算定のガイドラ イン」の策定を行い、2012年2月に冊子を発行しました。その後WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)の化学セクターとICCAが共同で上記ガイドラインをベースにグローバルガイドライン「主題:GHG排出削減貢献に対する意欲的な取り組み 副題:化学産業による比較分析をベースとしたバリューチェーンGHG排出削減貢献量の算定・報告ガイドライン」を策定し、2013年10月に発行しました。このガイドラインは化学製品によって可能となるGHG排出削減貢献量を算定するための初めての国際的なガイドラインです。
 グローバルガイドラインは、透明性・信頼性を確保した排出削減貢献量の評価・報告を実現する観点からは大変有用なものですが、解釈が難しい記述等があり、会員企業から具体的な事例への適用例も含めより理解容易な表現を要望されていました。そのため2015年3月に、このグローバルガイドラインの理解促進及び普及を目的に、グローバルガイドラインの補完集を刊行しました。補完集は、具体的な事例を基に、バリューチェーンにおけるレベルの定義、貢献製品の範囲や貢献度合いの定義、使用期間の設定方法や使用するデータの選び方、注意点等をわかりやすく解説しております。


 

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