CEFIC ESCom Standard

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CEFIC ESCom Standard

更新日 2011-10-18 | 作成日 2007-12-07

CEFIC ESCom 標準

2011-08-25 公開

この文書はCEFICの次のサイトにあるESCom Standardに関する記事からの転載翻訳したものとその解説です。
http://www.cefic.org/Industry-support/Implementing-reach/Libraries/

ESCom Standardは、ECHAがリリースしているリスクアセスメントと報告書作成ツールであるChesarに取り込める物となっており、これにより、全体としてリスクコミュニケーション[1]とそのためのツールであるSDSの添付ファイルとして要求される場合のある曝露シナリオ(ES)の一貫性をもった作成を促進することを狙っていると考えられます。



CEFIC サイトからの転載 ([ ]は訳注への参照)

ESCom標準

The European Industry has recognised the importance of using harmonised phrases and IT standard for Exposure Scenario communication under REACH.

欧州産業はREACHにおける曝露情報を伝達していくためには、調和した語句やITの標準を使用することが重要であると認識してきた。

A catalogue with standard phrases for Exposure Scenario communication has been prepared by different industry sectors, associations and companies. IT providers together with industry have also developed an XML standard for communication between different IT systems.

種々の業界(セクター)、協会、及び、企業が協力して、曝露シナリオ情報伝達の標準語句のカタログを一つ作成した。 ITプロバイダは業界と協力して、異なるITシステムの間の通信(情報伝達)のためのXML標準も開発してきた。[2]

New: ECHA has prepared an XML standard for importing ESCom phrases to Chesar 1.2. This is now available in the download package.

新: ECHAはESCom語句をChesar 1.2に取り込むための(インポートするための)XML標準を用意した。これはパッケージとしてダウンロードできる。

The use of the harmonised phrase catalogue together with the XML standard by all stakeholder of the Exposure Scenario communication process is essential. The complete package, called ESCom, together with the XML standard for ESCom phrases import in Chesar,  is available for free after registration and acceptance of the license conditions.

曝露シナリオ情報伝達過程の関係者全てがXML標準を伴った調和語句カタログを使用することが必須となる。パッケージ全体は、ESCom語句のChesarへの取込み(インポート)のためのXML標準を伴ったものであるが、そのパッケージは、登録を実施し、使用許諾条件[3]を受け入れれば、無償で入手可できる。


【訳注】


[1] REACHにおけるリスクコミュニケーション

REACHでは次のようにリスクコミュニケーションを「リスクと安全な取扱・使用・用途(use)に関する情報を伝達する」としている。

1.3 Requirements under REACH for risk communication
This document is designed to fulfil the duty on the Agency (ECHA) under Article 123 of the REACH Regulation to “provide guidance for the communication of information on the risks and safe use of chemical substances, on their own, in preparations or in articles, with a view to coordinating Member States in these activities”, in order to assist the Member States in fulfilling the duty on the MSCAs under the same Article to “inform the general public about the risks arising from substances where this is considered necessary for the protection of human health or the environment.

1.3 リスクコミュニケーションに関するREACHの下での要件
この書類は、REACH規則の第123条において、庁(ECHA)に関する義務を満たすために開発された。その義務は『化学物質自身、調剤(訳注--現時点では「混合物(mixture)」に用語が置き換わっている)中の物質、若しくは、物品(article)中の物質のリスクと安全な取扱・使用・用途(use)とに関する情報を、伝達するための指針を、この活動における加盟国の協力を視野に入れて、提供することである。』、この目的は、加盟国が同条項中にある『人健康と環境の保護のために必要と考えられる場合に物質から生じるリスクについて一般の人々に知らせる事』という、MSCAの義務を果たすのを支援することである。
ECHA(2010) Guidance on the communication of information on the risks and safe use of chemicals, P.7



[2] 標準語句のカタログが一つ


セクター間の協力により標準語句のカタログが一つ作成されている。

これは、プロダクト・スチュワードシップに基づいて、化学製品(chemical product)について供給者と顧客の協力(cooperation)すなわち責任の分担(shared responsibility)が実施されたことを意味している。 また、今後、この標準語句のカタログを利用して供給者と顧客とのコミュニケーションが広く実施されることが予想される。

[3] 使用許諾条件


使用許諾条件(license)は、Creative Commons Legal Code (クリエイティブ・コモンズ・ライセンス CCL) 帰属(Attribution)とされている。


【解説】

Product StewardshipとしてのESCom


CEFICはこのESComをProduct Stewardship Programの一つと位置付けているようだ。

Product stewardshipは、産官業民の国際的合意文書であるAgenda 21 の19.8で次のように言及されており、それを要求(requirement)としてとらえ、ESComとして実装(implementation 具体化)したものと暗に位置付けていると考えらる。

"The industry initiative on responsible care and product steward ship should be developed and promoted."
「レスポンシブル・ケアとプロダクトスチュワードシップ(自主的製品安全管理精神)の産業界主導プログラムが開発促進されなければならない。」

この文に引き続いて次のように記載している:

"Industry should apply adequate standards of operation in all countries in order not to damage human health and the environment." 「産業界は人と環境に損害を与えないように全ての国で十分な作業標準を適用すべである。 」

この「標準」ということばを受けて ESCom standard と記載していることに注目したい。

これらのWording (言葉づかい) によって、欧州はAgenda 21に基づいて、SAICM 2020年目標に向かって、一貫して着々と準備している、場当たり的対応ではない対応をしているという印象を醸し出している。





使用許諾条件となっているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて


クリエイティブ・コモンズとは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。CCライセンスはインターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするためのツールです。CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができる。(CCライセンスの種類)」

ESComの場合は、CCL Attribution (帰属) であるため、 再利用・再配布、改変、商用利用等を認めているようです。 CCLには複数のタイプがありますが、ESComで選択されている「帰属」タイプは、著作権は保持するが、もっともゆるい条件で使用を許諾しており、広く普及を狙っていると考えられます。これを再配布や翻訳すること、日本流に改変することも原著作者の明記とライセンス文書の添付で許諾されていると考えられる。