一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:福田信夫(三菱ケミカル㈱取締役相談役)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:務台衛)内に設けられた日化協LRI※1賞の第10回受賞者を次のとおり決定しました。この賞は、研究の奨励および研究者育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関して優れた業績をあげた研究者を表彰するものです。
※1Long-range Research Initiative = 長期自主研究活動

[受賞者] 篠田 陽 (しのだ よう)
東京薬科大学 薬学部 公衆衛生学教室・准教授
[テーマ] メチル水銀による末梢感覚神経障害とその回復機構
[受賞理由]
受賞者は、人の健康に及ぼす化学物質の影響に関する研究において、それまでに培ってきた有機化学、神経科学、生理学、細胞生物学領域の知識・経験を活かすことで、環境汚染物質であり、水俣病の原因物質であるメチル水銀の神経毒性発現メカニズムに関する研究を精力的に展開してきました。特に、これまでにほとんど注目されてこなかった末梢神経系へのメチル水銀の毒性発現メカニズムに関する研究において、ラットやマウスを用いた免疫組織学的な検討や行動解析、遺伝子発現解析などの手法を活用して、毒性発現様式や毒性発現メカニズムの一部を解明しました。本研究分野での今後ますますの活躍が期待できる研究者です。
なお、授賞式は、7月3日(水)~5日(金)に福岡国際会議場で開催される第51回日本毒性学会にて執り行われます。
LRIは、国際化学工業協会協議会(ICCA)に加盟している欧州化学工業連盟、米国化学工業協会および日化協の3つの団体によって1999年から運営されているグローバルプログラムで、化学物質の安全性の向上と不確実性の低減を目的として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する研究を長期的に支援する自主活動です。日化協は、2000年からLRIを通じて年間1億円規模の研究支援を開始し、2015年に優れた若手の研究者や世界をリードするような新しい研究分野を発掘することを目指して今回の「日化協LRI賞」を設立しました。
以 上