一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学㈱代表取締役社長)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本動物実験代替法学会(理事長:板垣 宏、以下「JSAAE」)内に設立した日化協LRI賞※1の第9回目の受賞者を決定いたしました。
※1Long-range Research Initiative = 長期自主研究活動
[受賞者] 小島 伸彦(こじま のぶひこ)
横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科
生命環境システム科学専攻・教授
[テーマ] Enhancement and maintenance of hepatic
metabolic functions by controlling 3D aggregation
of cryopreserved human iPS cell-derived
hepatocyte-like cells.
[邦 題] 凍結保存したヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞の
3次元凝集制御による肝代謝機能の強化と維持
[受賞理由]
受賞者は、3次元培養技術についてユニークな方法論を開発してきました。具体的には、細胞の瞬間接着剤を開発し、わずか1分でスフェロイド(細胞凝集体)を作製する技術を発表しました。また、その技術をさらに発展させ、メチルセルロースを分散した培地による強制的な細胞凝集技術を開発してきました。この手法は接着力の異なる細胞や接着性のない人工材料、細胞マトリックスなどの凝集に適しており、アイデア次第で様々な組織・臓器モデルを作製可能な方法です。
このように、受賞者は、動物実験代替に不可欠なヒト細胞の3次元培養による技術開発を精力的に進めており、今後もますますの活躍が期待できる研究者です。
なお、授賞式は、11月29日(金)~12月1日(日)にライトキューブ宇都宮で開催されるJSAAE第37回大会にて執り行われます。
LRIは、国際化学工業協会協議会(ICCA)に加盟している欧州化学工業連盟、米国化学工業協会および日化協の3つの団体によって1999年から運営されているグローバルプログラムで、化学物質の安全性の向上と不確実性の低減を目的として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する研究を長期的に支援する自主活動です。日化協は、2000年からLRIを通じた研究支援を行っています。「日化協 LRI賞」は、LRIの認知拡大および理解促進を図るとともに、同分野の優れた若手の研究者および世界をリードするような新しい研究分野を発掘することを目指して2015年に設立されました。JSAAEおよび日化協LRIウェブサイトで公募を行い、JSAAE内学術委員会の厳正なる審査を経て、日化協LRI賞へ推薦された候補者を日化協が承認し、受賞者が決定されます。