一般社団法人日本化学工業協会
会長 岩田 圭一
新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げますとともに、年頭にあたりご挨拶申し上げます。
世界経済については、中東・ウクライナ情勢、中国経済の長期低迷など、不透明感は依然として強く、さらには、トランプ次期政権の政策がもたらす影響への懸念など、今年も楽観視することはできません。一方、国内景気については、所得環境の改善により個人消費に持ち直しの動きがみられ、設備投資も緩やかな増加が続くなど、概ね悪化傾向は底打ちし、明るい兆しが見えています。
化学業界の業績についても、昨年は総じて回復に転じました。今年はこの流れを確かなものにするための各社のご努力が結実し、業績のさらなる向上に繋がることを期待いたします。
化学産業には、社会に必要な製品を安定的に供給するというエッセンシャル産業としての従来からの大切な役割に加え、カーボンニュートラルの実現を含む「GX(グリーントランスフォーメーション)」に貢献し、環境課題を解決するイノベーションの担い手として、社会からの期待に応えていくという大きな責務があります。
昨年12月下旬には、エネルギー基本計画の原案が示され、GX市場創造に関しては、「排出量取引制度の基本的考え方」が示されるなど、行政の動きが大きく進展しています。
我々化学産業としましても、GXに向けた様々な取り組みを行政と連携しながら着実に進め、さらにGXを加速させる重要な一年としたいと考えております。
ところで、世界的な動きとして、昨年は、プラスチック汚染終結のための国際条約の合意に向けた政府間交渉委員会(INC)がありました。最終交渉のはずであったINC5において、条約案の合意に至らなかったことについては残念に思いますが、一方で、汚染終結のための取り組みの重要性については世界レベルで合意が取れていると認識しています。
効果的で包括的かつ実行可能な条約を達成するため、日化協としましては、国際化学工業協会協議会(ICCA)のメンバーとして、本年再開される交渉に、引き続き建設的に関わっていきたいと考えております。
そして、「安全」と「コンプライアンス」の取り組みの着実な実施は、申し上げるまでもなく、化学産業が存続するための基盤、大前提です。今年もレスポンシブル・ケア活動の支援をはじめとする各種取り組みを着実に実施してまいります。
本年も、化学業界のさらなる発展と、関係各位の益々のご活躍とご健勝を祈念いたしますとともに、弊協会の活動・運営にこれまでと変わらぬご理解・ご協力を賜りますことをお願い申し上げます。