一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学㈱代表取締役会長)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本毒性学会(理事長:広瀬 明彦、以下「JSOT」)内に設立した日化協LRI賞※1の第12回目の受賞者を決定いたしました。
※1Long-range Research Initiative = 長期自主研究活動
[受賞者] 李 辰竜(り じんよん)
愛知学院大学 薬学部 公衆衛生学講座・准教授
[テーマ] カドミウムの毒性発現における細胞内転写経路の関与
[受賞理由]
受賞者は、DNA マイクロアレイやProtein/DNA アッセイを駆使して、カドミウムによって発現変動する新規の遺伝子および活性変動する新規の転写因子を複数同定することに成功し、これらがカドミウム腎毒性発現に深く関わっていることを国内外に先駆けて明らかにしました。また、カドミウムが、十二指腸において、鉄輸送体遺伝子の発現抑制を介して鉄の吸収を阻害することにより、鉄欠乏状態を引き起こすことも新たに見いだしました。さらに、ごく最近、ビタミンA 誘導体であるレチノイン酸がカドミウム毒性軽減効果を示すことも明らかにしました。このように、これまでその糸口すら見いだされていなかったカドミウムの毒性発現分子機構を解明するなど、優れた研究成果を挙げています。
なお、授賞式は、7月1日(水)~7月3日(金)にグランキューブ大阪で開催される第53回日本毒性学会学術年会にて執り行われます。
<ご参考>
LRIは、国際化学工業協会協議会(ICCA)に加盟している欧州化学工業連盟、米国化学工業協会および日化協の3つの団体によって1999年から運営されているグローバルプログラムで、化学物質の安全性の向上と不確実性の低減を目的として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する研究を長期的に支援する自主活動です。日化協は、2000年からLRIを通じた研究支援を行っています。「日化協 LRI賞」は、LRIの認知拡大および理解促進を図るとともに、同分野の優れた若手の研究者および世界をリードするような新しい研究分野を発掘することを目指して2015年に設立されました。JSOTおよび日化協LRIウェブサイトで公募を行い、JSOT内学術委員会の厳正なる審査を経て、日化協LRI賞へ推薦された候補者を日化協が承認し、受賞者が決定されます。
以 上
